勉強中にスマホを見てしまう高校生へ|iPhoneの集中モードで本当に集中できる?

勉強中にスマホを見てしまう高校生向けにiPhoneの集中モードを解説する画像

「勉強しよう」と思って机に向かったのに、LINEの通知が1通。

少し見るだけのつもりが、返信して、ついでにSNSを見て、気づいたら10分、20分。これは高校生にとって、かなり“あるある”ではないでしょうか。

ただし、本当に怖いのは「スマホを見た10秒」だけではありません

一度集中が切れると、元の勉強に戻るまでに時間がかかることがあります。カリフォルニア大学アーバイン校のグロリア・マーク教授は、仕事中の中断に関する研究について、当日中に再開された中断作業は、元の作業に戻るまで平均23分15秒かかったと述べています

もちろん、これは高校生の勉強だけを直接調べた研究ではありません。しかし、勉強でも仕事でも、途中で意識が切り替わると元の思考に戻るのが大変になる、という点では非常に参考になります。

つまり、「1通の通知」は10秒のロスではなく、深い集中に戻るまでの大きなロスにつながる可能性があるということです。通知、なかなかの強敵です。小ボスの顔をしたラスボスです。

そこで活用したいのが、iPhoneの「集中モード」です。

この記事では、高校生にも分かるように、iPhoneの集中モードの設定方法と、勉強に活かす使い方を紹介します。

出典:Gloria Mark, Victor M. Gonzalez, Justin Harris. “No Task Left Behind? Examining the Nature of Fragmented Work.” CHI 2005. / Gallup Business Journal “Too Many Interruptions at Work?” 2006.

目次

iPhoneの「集中モード」とは?

iPhoneの集中モードとは、勉強・睡眠・仕事など、何かに集中したいときに、通知や画面表示を制限できる機能です。

勉強中にすべての通知を止めることもできますし、家族や塾からの連絡だけは受け取れるようにすることもできます。

つまり、集中モードは「スマホを完全に使わない」ための機能ではありません。

正確には、勉強に必要なものだけを残し、邪魔になるものを減らすための機能です。

高校生の場合、スマホを完全に禁止するのは現実的ではありません。学校や塾の連絡、学習アプリ、カレンダー、英単語アプリなど、勉強に役立つ使い方もあるからです。

大切なのは、スマホを敵にすることではありません。スマホに主導権を奪われない設定に変えることです。

出典:Apple公式サポート「iPhoneで集中モードを設定する」

なぜ勉強中のスマホ通知は集中を邪魔するのか?

勉強中にスマホを操作していなくても、通知音や画面表示が出るだけで、意識はスマホに向きやすくなります。

「誰からだろう?」

「急ぎの連絡かな?」

「あとで返信しないと」

このように考えた瞬間、頭の中ではすでに勉強からスマホへ意識が移っています。

実際に、Stothartらの研究では、携帯電話の通知を受け取るだけでも、注意を必要とする課題の成績が乱れることが報告されています。重要なのは、スマホを実際に操作しなくても影響が出ている点です。

つまり、「通知が来ても見なければ大丈夫」とは限りません。

通知が来た瞬間に、勉強から注意がそれる可能性があります。

特に、次のような勉強では注意の中断が大きなダメージになります。

科目・内容通知で中断されやすい理由
数学の応用問題途中式や条件を頭の中で整理する必要があるため
英語長文前後の文脈を追いながら読む必要があるため
現代文の読解筆者の主張や論理展開を追う必要があるため
理科の計算問題公式・条件・単位を同時に処理する必要があるため

勉強中のスマホ通知は、単なる音や表示ではありません。頭の中で進んでいた思考を、一度止めてしまう可能性があるものです。

出典:Stothart, C., Mitchum, A., & Yehnert, C. (2015). “The attentional cost of receiving a cell phone notification.” Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance.

多くの研究では、
「スマホを操作しながら別の作業をすると成績が落ちる」
ことはすでに示されていました。

しかし、この論文が調べたのはその一歩手前です。

スマホを見ない。返信もしない。
ただ通知音や振動を受け取るだけで、注意力は落ちるのか?

この研究の概要:Stothartらの研究では、大学生を対象に、スマホ通知が注意力に与える影響を調べた。参加者は集中力を測る課題に取り組み、その途中で電話通知・テキスト通知・通知なしの3条件に分けられた。その結果、スマホを見たり返信したりしなくても、通知を受け取っただけで課題のミスが増えた。つまり、スマホ通知は「見るから危険」なのではなく、「来るだけで集中を乱す」可能性がある。

スマホは「机の上に置くだけ」でも影響する?

通知を切れば安心、と思うかもしれません。

しかし、スマホは机の上に置いてあるだけでも、意識を引っ張ることがあります。

Tanil & Yong(2020)は、大学生119名を対象に、スマホの存在が学習と記憶に与える影響を調べました。その結果、スマホが近くにある条件では記憶課題の成績が低く、さらに「スマホのことをどれだけ考えていたか」が記憶成績を有意に予測していました。

これは高校生にも大切なヒントになります。

勉強中のスマホ対策は、次の3つをセットにすると効果的です。

対策具体例
通知を切る集中モードでSNS・動画・ゲーム通知を制限する
スマホを見えない場所に置く机の上ではなく、カバンや棚に入れる
勉強用アプリだけ使う学習記録・カレンダー・単語アプリなどに絞る

自宅学習なら、スマホを机の上に置かず、少し離れた棚やカバンの中に入れる。

自習室なら、画面を下に向けるだけでなく、集中モードをオンにして通知を出さない。

このように、スマホが勉強に割り込む回数を減らすことが大切です。

出典:Tanil, C. T., & Yong, M. H. (2020). “Mobile phones: The effect of its presence on learning and memory.” PLOS ONE, 15(8), e0219233.

この研究の概要:Tanil & Yong(2020)は、大学生119名を対象に、スマホの存在が学習・記憶に与える影響を調べた。参加者は、自分のスマホを机の上に置く条件と、スマホを研究者に預けて視界から外す条件に分けられ、ワーキングメモリ課題に取り組んだ。その結果、スマホを視界から外した学生の方が、スマホを机上に置いた学生よりも記憶課題の成績が高かった。また、実験中にスマホのことをよく考えていた学生ほど、記憶成績が低かった。つまり、スマホは操作しなくても、近くにあるだけで学習に必要な注意資源を奪う可能性がある。

iPhoneの集中モードはどう設定する?

ここからは、実際の設定方法を見ていきます。

手順1:「設定」アプリを開く

iPhoneの設定アプリで集中モード項目が表示されている画面

まず、iPhoneの「設定」アプリを開きます。

次に、「集中モード」をタップします。

すでに「おやすみモード」「仕事」「パーソナル」などが表示されている場合がありますが、勉強用には新しく作るのがおすすめです。

手順2:勉強用の集中モードを作る

STUDYという名前の集中モードに緑色のアイコンを設定している画面

右上の「+」をタップし、「カスタム」を選びます。

名前は、見た瞬間に分かるものにしましょう。

  • 勉強
  • Study
  • 自習
  • テスト勉強
  • 受験勉強

色やアイコンは自由で構いません。自分が「勉強モードに入った」と感じられるものを選びましょう。

手順3:通知を許可する人を選ぶ

STUDY集中モードで通知を許可する連絡先を選択している画面

次に、通知を許可する人を選びます。

高校生の場合、保護者、塾、学校関係の連絡は許可してもよいでしょう。一方で、友人からの通知は、勉強中は基本的にオフでよいです。

通知を許可する人おすすめ設定
保護者許可してもよい
塾・学校関係者必要に応じて許可
友人勉強中は原則オフ
SNSの知人オフ推奨

手順4:通知を許可するアプリを選ぶ

STUDY集中モードで通知を許可するアプリを選択している画面

次に、通知を許可するアプリを選びます。

おすすめは次のような設定です。

アプリおすすめ設定
Studyplus許可してもよい
カレンダー許可してもよい
リマインダー許可してもよい
LINE家族・塾連絡以外は制限
Instagram / TikTokオフ推奨
YouTubeオフ推奨
ゲームアプリオフ推奨

手順5:勉強用のホーム画面を作る

STUDY集中モードの詳細設定で画面カスタマイズやスケジュール追加を行う画面

集中モードでは、勉強中に表示するホーム画面も設定できます。

英単語アプリ、学習記録アプリ、カレンダーだけを置いた「勉強用ホーム画面」を作っておくと、SNSや動画アプリが目に入りにくくなります。

ポイントは、誘惑に勝とうとしすぎないことです。

最初から誘惑が見えないようにしておく。これが一番シンプルです。

手順6:時間で自動的にオンにする

集中モードのスケジュールで開始時刻17時、終了時刻22時、平日を選択している画面

集中モードは、時間を決めて自動でオンにすることもできます。

自動化しておくと、「毎回オンにするのを忘れる」という問題を防げます。

場面設定例
平日の家庭学習20:00〜22:00
土曜の午前自習9:00〜12:00
テスト前19:00〜23:00
受験期の日曜9:00〜12:00、14:00〜17:00

出典:Apple公式サポート「iPhoneで集中モードを設定する」「集中モード中に通知を許可または停止する」

高校生におすすめの集中モード設定

最初から完璧な設定を作ろうとしなくて大丈夫です。

まずは「勉強モード」を1つ作りましょう。

おすすめ設定は、次の3つです。

設定項目おすすめ
通知を許可する人保護者・塾・学校関係のみ
通知を許可するアプリ学習記録・カレンダー・リマインダー
表示するホーム画面勉強用アプリだけの画面

ここで大切なのは、通知を完全にゼロにすることではありません。

必要な連絡は残し、勉強に不要な通知を減らすことです。

特に高校生の場合、「親からの連絡まで切ってしまうと不安」というケースもあります。その場合は、保護者だけ許可しておけば問題ありません。

集中モードは、スマホを取り上げる機能ではありません。スマホとの距離感を整える機能です。


ポモドーロテクニックと組み合わせると使いやすい

集中モードは、時間を区切る勉強法と相性がよいです。

たとえば、25分勉強して5分休むポモドーロテクニック。

この25分の間だけ集中モードをオンにし、休憩時間に軽く立ち上がる。これだけでも、勉強の始まりと終わりがはっきりします。

短い休憩に関するメタ分析では、10分以内のマイクロブレイクが、活力の向上や疲労の軽減に小さいながら有意な効果を示したと報告されています。

一方で、全体的なパフォーマンス向上については有意ではなく、負荷の高い課題では10分以内の休憩だけでは不十分な可能性も示されています。

また、Biwerらの研究では、大学生・大学院生を対象に、自由に休憩を取る条件と、24分勉強+6分休憩などの体系的な休憩を取る条件が比較されました。

その結果、体系的に休憩を取る条件の方が、疲労や気散りが少なく、集中や意欲を保ちやすい傾向が示されました。ただし、課題完了量に明確な差はありませんでした。

出典:Albulescu, P. et al. (2022). “Give me a break!” A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance. PLOS ONE, 17(8), e0272460.

出典:Biwer, F., Wiradhany, W., oude Egbrink, M. G. A., & de Bruin, A. B. H. (2023). “Understanding effort regulation: Comparing ‘Pomodoro’ breaks and self-regulated breaks.” British Journal of Educational Psychology, 93(S2), 353–367.

集中モードを使っても集中できないときは?

集中モードをオンにしても、集中できないことはあります。

その場合、原因はスマホだけではないかもしれません。

よくあるのは、「何を勉強するか」があいまいなケースです。

あいまいな目標よい目標
英語をやる英単語を100語確認する
数学をやるチャートの例題を5題解く
化学をやる酸化還元の問題を3題解く
古文をやる助動詞の識別問題を10問解く

このように、勉強を始める前に「今日終えること」を決めておくと、集中モードがより効果を発揮します。集中モードは「勉強に入りやすくする道具」です。そのうえで、何を覚えるか、どう思い出すか、いつ復習するかまで決めると、学習効率はさらに上がります。

勉強に集中できない原因は、スマホだけではないかもしれません

「何を勉強すればよいか分からない」「計画を立てても続かない」「勉強時間はあるのに成績につながらない」場合は、学習内容や進め方を見直すことも大切です。

リード予備校では、学習計画・学習管理・面談を通して、高校生の学習習慣づくりをサポートしています。

保護者の方へ|スマホは「禁止」より「設計」が大切です

高校生のスマホ利用を見ていると、「取り上げた方が早いのでは」と感じることもあるかもしれません。

もちろん、使いすぎには注意が必要です。

しかし、高校生にとってスマホは、連絡手段であり、学習ツールであり、予定管理の道具でもあります。完全に禁止するよりも、勉強中だけ通知を減らし、使うアプリを絞る方が現実的です

おすすめは、親子でルールを決めることです。

ルール内容
勉強中は集中モードをオン平日20時〜22時など
家族からの連絡は許可緊急連絡用
SNSは勉強後に見る時間を決める
テスト前は通知制限を強化期間限定で設定

スマホをめぐる親子バトルは、どの家庭でも起こりがちです。

ただ、「スマホをやめなさい」と言うだけでは、なかなか続きません。

大切なのは、気合いではなく環境です。集中できる仕組みを先に作ることで、本人の意志の力に頼りすぎない勉強環境を作ることができます。

まとめ|集中モードは、勉強に入りやすくするための環境づくり

iPhoneの集中モードは、勉強中の通知を減らし、スマホに邪魔されにくい環境を作るための機能です。

大切なポイントは、次の5つです。

ポイント内容
通知を減らすSNS・動画・ゲーム通知を制限する
必要な連絡は残す家族・塾・学校関係は許可する
スマホを見えにくくする机の上に置きっぱなしにしない
時間を区切るポモドーロと組み合わせる
勉強内容を決める何を終えるか決めてから始める

集中モードは、成績を上げる魔法ではありません。

しかし、スマホに集中を奪われにくくするための、かなり実用的な第一歩です。

「スマホを見てしまう自分はダメだ」と考える必要はありません。

人間の注意は、そもそも刺激に引っ張られやすいものです。

だからこそ、勉強前に集中モードをオンにする。

スマホを見えない場所に置く。

25分だけ集中して、短く休む。

今日やることを決めてから始める。

この小さな工夫の積み重ねが、毎日の学習習慣を変えていきます。

スマホに邪魔されない学習習慣を、一緒に作りませんか?

「家ではなかなか集中できない」

「スマホを見てしまい、勉強時間が増えない」

「何をどれだけ勉強すればよいか分からない」

こうした悩みは、本人のやる気だけの問題ではありません。

勉強に集中しやすい環境を作り、学習内容を整理し、定期的に振り返ることで改善できることがあります。

リード予備校では、大学受験に向けた学習計画、学習管理、面談を通して、高校生の学習習慣づくりをサポートしています。

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